RATO新理事長 田中 千秋氏 インタビュー

RATO 理事長 田中千秋 氏

― 新理事長就任に当たっての抱負をお聞かせください。

田中:地球環境とエネルギー問題は地球が抱える最重要課題ですので、その問題に取り組む組合の理事長就任は身の引き締まる思いです。金川前理事長の熱い思いを引き継いで、実用化への道筋をしっかり立てていくことが私に課せられた使命であると思っています。RATO(有機系太陽電池技術研究組合)の趣旨として、組合に参加する企業がどうやって結合してやっていくのかが重要です。それをうまく取りまとめ、皆さんの力を引き出していくのが私の役目です。夢と期待は大きいのですが、一方で課題も多く抱えていますので、世界に先駆けて有機系太陽電池の商品開発を加速するためにしっかり取り組んでいきたいと思っております。

続きを読む

RATO NEWS VOL.2

第二号表紙

RATO新理事長 田中 千秋氏 インタビュー

分科会報告
 -① 材料・セル・製造プロセスの開発設計分科会
     有機系太陽電池ワークショップ
~酸化チタンの基礎化学と応用~
 -② ICES2013を終えて
 -③ 第一回用途開拓シンポジウム

寄稿
 -① EU PVSEC 2012 を訪問して
 -② IEC TC113 ミルピタス会議(米国)に出席して
 -③”Angewandte Chemie”125周年記念
  シンポジウムに出席して
—Roald Hoffmannの分子軌道概念と分子構造太陽電池—

理事長退任に当たって
シンポジウム・講習会報告
活動報告(2012年9月~)

第一回用途開拓シンポジウム

有機系太陽電池はEPT(エネルギーペイバックタイム)が短く、軽量・安価・フレキシブルな特徴を有する次世代太陽電池として技術開発が進められています。近年、世界の色素増感・有機薄膜太陽電池の研究グループから変換効率12%を超える効率が度々報告されはじめ、技術進化の真っ只中であります。実用化の期待も日増しに強くなってきておりますが、残存する課題もあります。一方で、従来型の太陽電池の暴落や品質問題の発生などもあり、市場は混沌としております。日本がリードしてきました有機系太陽電池の技術は、新興国の追いあげもあり競争の激化が予測されます。2011年発足した有機系太陽電池技術研究組合(RATO)では、技術開発と用途開発を車の両輪とし、両社併せて研究開発していく技術研究組合です。有機系太陽電池の実用化には、技術だけでなく斬新なアイデアやデザインが重要です。用途開拓を促進するため、各界の第一人者の講師をお招きし、市場動向からメガゾーラーまで幅広い話題をご提供いただき、ご聴講者の皆様に、用途開拓のヒントやビジネスインスピレーションを得ていただくため「第一回用途開拓シンポジウム」を企画しました。

■開催日時 2013年2月21日(木) 13:30-17:30
(意見交換会:17:45-19:30)
■開催場所 東京大学 先端科学技術研究センター 産学連携新エネルギー研究施設
3号館南棟(環境エネルギー棟)1階 ENEOSホール
http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/maps/index.html
■主催 有機系太陽電池技術研究組合(RATO)
■参加費 RATO加入会社、大学関係者・・・無料
一般(意見交換会含みます)10,000円 (当日に徴収)
■定員 100名(先着順)
■掲載物 ポスター(A0サイズ)  チラシ(A4サイズ)

プログラム

13:30-13:40 開会挨拶
13:40-14:30 講演(1)
「太陽電池の技術・市場動向と有機系太陽電池の生きる道」
日経BP社 日経エレクトロニクス編集部  野澤哲生様
14:30-15:20 講演(2)
「太陽電池が描く未来世界 ~発想を広げて、花を咲かせる~」
ソニー株式会社 UX・商品戦略本部 クリエイティブセンター 木村奈月様
15:20-15:40 コーヒーブレーク
15:40-16:30 講演(3)
「エネルギーハーベストの動向と展望」
株式会社NTTデータ経営研究所社会 環境戦略コンサルティング本部 竹内敬治様
16:30-17:20 講演(4)
「メガソーラー導入の動きと今後の展望」
株式会社 NTTファシリティーズ メガソーラープロジェクト本部 小西博雄様
17:20-17:30 閉会挨拶
17:45-19:30 意見交換と交流会

*意見交換と交流会は隣接の3号館M2Fエントランスを予定しております

■シンポジウム参加申し込み

大変申し訳ありませんが、お申し込みの受付は終了いたしました。

【寄稿】有機太陽電池の国際標準策定が始まるにあたって

スマートソーラーインターナショナル 松山外志郎

スマートソーラーインターナショナル 松山外志郎

本年2012年10月、IEC(国際電気標準会議)にて有機太陽電池の標準策定作業が始まる見込みである。この機会をとらえてFIRSTとして、日本としての活動が具体化していくだろう。広く電気・電子業界では多くの場面で繰り返されている事柄ではあるものの、ここで一度、IEC対応の意味を整理してみたい。

  1. 日本が強い技術なのだから、日本リードで国際標準を作って基盤を強固にしよう
  2. シリコン太陽電池パネルの認証はIEC標準に依っている。何故今、有機太陽電池の国際標準が必要なのか

こうした極めて自然な声が出てくる背景のひとつに、太陽電池産業のどの部分に関与しているかに依って人の理解に大きな幅があるという実際がある。
続きを読む

太陽エネルギーの化学的変換貯蔵国際会議(IPS-19)報告

DSC・OPVの分子界面構造と電気伝導性に関する研究レポート
大阪大学名誉教授・RATO理事 柳田 祥三

IPS-19会議
IPS-19会議

IPS-19会議は、太陽光とCO2とH2Oからメタノール等の燃料を合成する研究を継続しているカリホルニア工科大学(CALTEC)のMichael Hoffmann教授が組織委員長となり、本年7月30日から5日間、CALTECで開催された。色素増感太陽電池(DSC)、ポリマー太陽電池(OPV)関係のプレナリー講演は、Michael Graetzel (Water splitting & DSC)、Andrea Hagfeldt (DSC)、Alan J. Heeger (OPV),Tobin Marks (Photoactive materials) 、Prachant Kamat (Q-dot PV)による5件、口頭発表も全セッションの約1/4、11セッションで75件であった。ポスター発表件数は全ポスター発表件数の約半数の142件あり、会議の後半Beckman Auditorium前の屋外広場で行われた(写真)。DSC・OPVの今後の研究・開発に寄与すると思われる分子界面構造と電気伝導性に関する5件の研究を報告する。
続きを読む

有機系太陽電池技術研究組合(RATO) 発足記念シンポジウム

会場風景(東大先端研ENEOSホール)
会場風景(東大先端研ENEOSホール)

 2012年6月19日(火)東京大学先端科学技術研究センター環境エネルギー研究棟ENEOSホールにて、有機系太陽電池技術研究組合(RATO)発足記念シンポジウムを開催した。今回のシンポジウムには産官学の55機関から115名の参加があった。
 開会にあたり、金川哲夫RATO理事長より、「日本が世界に先駆けて有機系太陽電池の商品開発を加速するためには、RATOの役割が重要であり、多くの組合員の協力が必要である」と挨拶があった。次に経済産業省資源エネルギー庁元長官の石田徹様より、「太陽光発電の普及拡大に向けて、新しい分野として有機系太陽電池の早期実用化を期待している」と祝辞が述べられた。
 続いて基調講演にうつり、太陽光発電技術研究組合(PVTEC)桑野幸徳理事長、および、産業技術総合研究所太陽光発電工学研究センター近藤道雄センター長からご講演があった。最後に東京大学先端科学技術研究センター教授の瀬川浩司RATO理事から、有機系太陽電池の現状とRATO設立の意義や役割、今後の取り組みなどについての紹介があった。閉会後、希望者による色素増感太陽電池のミニパイロットライン(環境エネルギー研究棟瀬川研究室内)の見学会が行われ、その後意見交換会が開催された。
続きを読む

■理事長ご挨拶

RATO理事長 金川哲夫
RATO理事長 金川哲夫

 今世紀に入ってから日本の製造業は危機状態に有ります。中国、韓国、台湾などの経済成長に比べて日本は不振が続いています。半導体、パソコン、液晶パネル、携帯電話などいずれも苦しい状況にあります。かつては世界を席巻した「メイド・イン・ジャパン」のブランドは、現在日本の国内でしか通用しないローカルなブランドに変わっています。
 このような状況を招いた要因はいろいろ有りますが、企業が制御しがたい要因として国の政策や円高があります。一方、企業が統制できる要因もあります。一つは技術流出を防ぐ方策と、もう一つは1企業が一貫して開発・企業化し世界を相手にしてきた考え方で、21世紀の現代では通用しなくなったことにあります。

 このような窮迫した状況を切り抜けた実例が16世紀・戦国時代の日本で行われた「毛利元就の3本の矢の教え」ではないかと思います。実際に毛利家は19世紀末廃藩置県までの300年にわたって中国地方の雄藩として存続しました。この教えは、個々の企業単独では押し潰される相手に対しても、個々の企業がお互いを信じて手を結べば世界を相手に戦えると謂うことです。つまり有機太陽電池はDSCにせよOPVにせよ、1企業でもって開発・企業化するのではなく、最初からオールジャパンの体制で智恵を集め世界を相手にするのが堅実な方針で将来的にメリットが生じると思います。「言うは易く行うは難し」と言いますが、オールジャパン体制を実現するにはまず知財の壁が立ちはだかって来るのが目に見えています。ここで知恵を絞り「小異を捨てて大同団結」しなければ有機太陽電池の将来に明かりは見えてこないと思います。

 更に有機太陽電池を世の中に普及させるためには少なくとも変換効率がモジュールで10%以上・耐久年数10年は保たないと商品にならないと思います。セルでは10%を超えていますがモジューになると未だ10%を超えていません。商品化迄にはもう一つ二つ大きなブレークスルーが必用です。性能向上の方はFIRSTで頑張って頂き、ここ2,3年の内に商品化の目途が立ち再生可能エネルギーとしてカウントされる存在にならないと有機太陽電池まで中国・韓国の後塵を被ることになり兼ねません。
 将来的には世界が真似のできないかつ市場で価格競争に巻き込まれない独自の品質を持った有機太陽電池を育て上げる予定です。今後ともRATOにご支援を賜りますようお願い致します。

第24回PVTEC技術交流会・意見のご案内会

拝啓 時下益々ご清祥のことお慶び申し上げます。
下記の通り第24回PVTEC技術交流会を、8月23日(木)ホテルメトロポリタンエドモントにて開催いたします。

今回は、<日本の未来のエネルギー>- 東日本大震災の復興と再生エネルギー固定買取法(FIT)の活用による太陽光発電の大量普及の道 -をテーマに開催いたします。  真野秀太氏(自然エネルギー財団)、松田道郎氏(Munich RE)、渡辺明氏(福島大学)をはじめとした7人のパネリストによるパネルディスカッションを予定しております。
技術交流会終了後に恒例の意見交換会も行います。意見交換の場としてお役立て下さい。

多くの方のご参加をお待ちしております。
なお、参加者は原則として事前登録者のみとさせていただきますので、お手数ですが、必ず、ご登録をされるようにお願いいたします。

名 称 : 第24回PVTEC技術交流会・意見交換会(プログラム(予定)は別紙)
日 時 : 平成24年8月23日(木) 14:30~19:30(受け付け開始 14:00)
場 所 : ホテルメトロポリタンエドモント
〒102-8130 千代田区飯田橋3-10-8
tel:03-3237-1111
http://www.edomont.co.jp/        (東京都目黒区駒場4-6-1)
参加費 : 20.000円/人