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- RATO News vol.02
寄稿-② IEC TC113 ミルピタス会議(米国)に出席して
IEC TC113の会議は概ね年2回開催されているようである。2012年5月には東京で開催され、それに次いで同年10月に米国Milpitas(シリコンバレー)で開催された。10月といえばIECの年1回の総会の月である。2012年はノルウェーのオスロで総会が開催されたが、この際、TC113はこの全体の中では開催されず、別途米国にて開催する方を選んだようである。(因みに2013年のIEC総会は、同じく10月にインドのニューデリーで開催されるが、この時、TC113も一緒にニューデリーで開催される事が既に決まっている。)
我等が有機系太陽電池がIECの中で討議される事になったのは、上述の2012年5月の東京での会議においてである。本稿では、この時からの経過を踏まえてMilpitas会議の内容を報告するとともに、この後、5月21日からのベルリン、10月のインドでの議論がどういうものになるだろうか・・・という想定を含めていきたい。ただお断りであるが、5月21日からのベルリンの会議に向けて、日々、状況が推移してきており、本稿は5月10日時点のものとして記載している事をご了解頂きたい。これが重要なのは、当プロジェクトへの参加表明をする国の数が規定に満たない場合は、その時点で当プロジェクトが消滅する事となり、“IECにおける有機系太陽電池の標準化活動そのものの行き場”が、当座無くなってしまう事を意味する。この可能性は極めて低いが、10日時点で確実な事を申し上げるには至っていない。[1]
1.これまでの経緯を振り返る
2012年5月
・東京会議:PWIの討議開始が承認された。
2012年9月
・PWI改訂、その主要点:OPV/DSC双方が対象
・“Reliability”の標準が“Stability”の標準と改められる
・対象はセルのみ。モジュールは含まれない
2012年10月
・Milpitas会議:改定PWIをベースに討議
・改訂版の改訂点については、基本的には日本側での事前の考慮点と一致している。
・三菱化学 荒牧氏が有機系PV全般のプレゼン
・室内光から集光光までナノをベースにした全てのPVセルの安定性が対象
・2012年12月に向けてWeb会議を行う
2012年12月
・Web会議は行われず、NWIPが出され、3月20日までのコメント・投票に付された。
・NWIPはIS(国際標準)としてではなく、TS(技術仕様書)のプロジェクトとして出された。
2013年3月
・日本からの回答・コメント:主として下記の考え方で“賛成”として回答。
・TSであれば、当面認証などの対象となる危険度が低い。
・TSとしてでも、部分的に詳細に決めすぎている部分があるので、これらの点については、今後討議されていくべきとのコメント付き
・認証に結びつくような記載や、OPV・DSCの一方のみに特化した事項に関する記載は削除されるべきとのコメント付き
2013年4月末
・NWIPが有効となり審議が始まる為に必要な4ヶ国の参加に至っていない。
・参加:独、日、露 (米国はPWIの段階では参加していたが、今回は不参加に変えた)
・“不成立”として活動がここで終了するところではあるが、国際幹事はもう一か国の参加促しに自信を示している。
2013年5月10日
・遅れていた第四ヶ国目からの表明があって、10日付けで文書が回付された。
・NWIP有効の為の第四ヶ国目は、カナダである。 但し、カナダからのExpertの名前を見ると、ナノ材料の言葉の定義に関与している人物であって、有機あるいはPVの専門家ではない。(5月11日記)
2.今後
2013年5月
・カナダの参加表明を受けて、ベルリンで会議は開催される。ただ、ロシアもカナダも本当の意味の専門家は現れないだろう。 実際には、プロジェクトリーダーのHauch氏の日本からの代表による文書のチェックになるだろう。
・Hauchが今回初めて現れるので、IECでのプロジェクトの位置付け、ISOSとの関係など氏の考え方を表明してもらうつもりである。(5月11日記)
2013年10月
・インドでの会議において有機PV関係が討議されるか否かは今の段階で議論するのは時期尚早である。今のStability のTS に加えて、日本から新たな提案を行うという方針に至れば、インドでの開催を積極的に求めていく事になるだろう。
尚、PWI, 改定版PWI, NWIP文書を本稿の一部としてコピーして掲載する事は差し控えるものの、内容にご興味ある方には個々にお送りさせて頂きます。
3. 以下、2012年10月のミルピタス会議の報告を載せる。
IEC TC113 ミルピタス会議(米国)出張報告
2012年10月、IEC TC113(ナノエレクトロニクス)の会議が米国ミルピタス(シリコンバレー)にて開催されました。この会議の中の有機系太陽電池標準のセッションにゲストとして参加致しました。
IEC TC113会議
1.概要
開催場所 | 米国 ミルピタス |
開催日 | 2012年10月15日~19日 有機系太陽電池標準化のセッション 16日。筆者はこのセッションのみに参加。 |
参加者 | TC113への登録メンバー国から、関係Expertが参加。(有機系太陽電池のセッションのみに参加した為、詳細不明。)総勢 二十数名。 日本からは、ナノエレクトロニクス関係で5名、有機PV関係で三菱化学の荒牧氏。 筆者はTC113国際幹事のFabricius氏から直接のInvitationという事で、参加したので日本の立場を代表する役にはなかった。 有機太陽電池関係者:本プロジェクトのリーダーである独のHauch氏は欠席。本分野の関係者は三菱化学の荒牧氏と筆者のみ。[2] |
2.議事
プロジェクトリーダーのHauch氏が不在だったので、国際幹事のFabricius氏が実質、議論をリード。以下について討議が行われた。
1)三菱化学 荒牧氏の有機PVに関するプレゼン
2)PWI審議文書の審議
主要改訂点 |
・有機薄膜PVとDSCが同等に扱われる事になった。 ・Reliability の言葉が改められStabilityとなった。 ・認証関連の記載を削除 ・セルを対象とするものであり、モジュールは対象外。 |
3)全体的な質疑とこれからのスケジュール
主要な質疑: |
室内光から集光光まで、Stability評価の対象となっているが、そういう事で良いか? → 了。 TC82(太陽光発電)の関係では、米国のTC82国内委員会はTC113の有機PVの活動に反対している。一方、ドイツのTC82国内委員会はTC113の活動を Enthusiastic と見ている。 ・やはり今回、プロジェクトリーダーのHauch氏が不在であるのはよろしくない。独の中でどの程度コンセンサスがとれているのかも良く分からない。是非、独国内での討議を深めてもらいたい。 ・それを踏まえた上で、Web会議の開催をしてもらいたい。Web会議は11月末~12月。 |